南インドのお米のレシピ

米粉から始まる南インドの朝

タミル・ナードゥ州の州都チェンナイにほど近い漁村、マーマッラプラム。早朝、集落を歩くと、家の玄関先の地面に、白い粉で美しい模様を描いている女性に出会いました。母から娘へと伝わる様々な模様は、福を呼ぶおまじないなのだそうです。最近は専用の粉も売っていますが、米どころの南インドでは古来、米粉で描くものだといいます。ここでは米が年に2、3回収穫されるため、主食はお米です。家庭では毎朝、お母さんがお米のクレープ「ドーサイ」を焼き、お米の蒸しパン「イドゥリ」を作ります。

 南インドにはインダス文明の担い手と考えられているドラヴィダ系の人たちが住んでいて、タミル・ナードゥ州に多いタミル人も同系。9世紀に遡るタミル様式の古い寺院の壁には、神様に捧げる料理のレシピが多美恵うごで刻まれ残っています。その料理の調味料は、現代のインド料理と同じ基本スパイスーーーこしょう、、ターメリック、クミン、コリアンダー、からしで、インド料理の原型が、この時代の南インドで出来上がっていたことを物語っています。

南インドの朝ごはん

ドーサイ

イドゥリ

『栄養と料理』2013年8月号 写真・文・レシピ 沙智 Photographs&Text©️Sachi